協会について About us
代表ごあいさつ Message
公認心理師/米国臨床心理学修士号(MA)
一般社団法人 日本グリーフ専門士協会
代表理事井手 敏郎
本協会に関心をもってくださり、心より感謝申し上げます。
グリーフは日本人にはまだまだ馴染みのない言葉ですが、死別、離別、災害、病気、怪我、離職、いじめなど、様々な場面で引き起こる喪失体験による心身の反応のことです。
人として自然な反応ですが、グリーフという概念を知らないことで、体調がすぐれなかった際、早急に医療機関へ向かう人も少なくありません。そのため、必ずしも必要ではない診断や薬の処方が行われることが大きな社会問題となっています。
本協会はありのままの気持ちを語ること、適切な知識を得ること、繋がりを感じることこそが、グリーフの状態をやわらげるきっかけになると信じ、2015年に立ち上げたものです。
かつて私は幼少期の喪失体験から、死に関心をもち仏門を志したことがありました。しかし、自身が生涯をかけようとした信仰に疑問が生じ、40歳を過ぎてそれらを手放し、人生をゼロからやり直す経験をしています。
その後、日本、アメリカ、ドイツなど国内外でグリーフケアを学び、協会を立ち上げました。活動を広げる中で、自殺念慮など、精神的にリスクを抱えた方へのより配慮ある関わりの必要性を感じ、専門性を求めて心理大学院へ進みました。
大学院で米国臨床心理学の修士号(MA)の取得、緩和ケア病棟、依存症の回復支援施設、精神科クリニックのデイケアなどでクライアントと関わる経験を経て、現在は公認心理師として、心理臨床を意識したグリーフケアの活動を行っています。
2016年の熊本地震に現地で遭遇した経験から、国内外どこからでも参加できるグリーフケア教育や活動の必要性を実感し、オンライン(ZOOM)を軸にした取り組みに舵を切りました。当初は、オンラインでグリーフケアができるのかという懐疑的なご意見もいただきましたが、この大切な取り組みを広く伝えるために新しい可能性を切り開くことは私たちの協会の大事な役割と考え、活動を続けてきました。
現在は日本国内はもちろん、アメリカ、カナダ、ドイツ、オランダ、オーストラリア、インドネシアなど世界各地からご参加いただいています。資格取得者(グリーフ専門士、ペットロス専門士)は900人以上誕生し、さらに活動の輪を広げています。
さらに近年はカウンセラー養成にも力を注ぎ、2020年には全国心理業連合会(全心連)の認定校として承認を得ました。大学との連携によるグリーフケアの研究も進めており、臨床心理学の理解やエビデンスを重視した統合的なアプローチや実践的な学びを提供しています。
また、本協会では知識を得るだけにとどまらず、実践的な学びと仕組みづくりを重視してきました。大切な存在を亡くした方が集う「わかちあいの会」やカウンセリングに関わり、NPO法人への派遣なども行っています。
死別された方への関わりにおいて、グループと個人の双方からのアプローチを重視していることは当協会の特徴でもあります。本協会のわかちあいの会は、毎年100回以上、年間600人以上のご遺族が参加する国内でも大きなグリーフケアの取り組みとなりました。協会認定のカウンセラーによる個人カウンセリングを利用される方も年々増加しています。
グリーフケアやペットロスケアに関心をもった受講生の中には、ご自身が大きな喪失経験で傷ついてきた方も多く見受けられます。そのため、協会での学びや活動自体が受講生自身のグリーフケアになることも大事にしてきました。
学びを通じて、ご自分の気持ちにしっかり向き合うことや仲間とつながることが、その後の安定的かつ継続的な活動につながると感じてきました。個人活動の限界を考慮し、協会の仲間同士や他団体との連携を重視しながら、資格取得後のサポートにも力を注いでまいります。
日本グリーフ専門士協会は、グリーフケアとペットロスケアに関わるあらゆる支援への挑戦を続けながら、
多くの方にとってのサードプレイス(家庭でもなく、職場でもない、ゆっくり過ごせ、ストレスを緩和し心をあたためる第三の居場所)になることを目指します。