グリーフケアの風景 Landscape
グリーフケアの時代に
こんにちは。グリーフ専門士、寿月です。
日本グリーフ専門士協会も協力させていただいたドキュメンタリー映画
『グリーフケアの時代に~あなたはひとりじゃない~』が12月1日から全国順次公開スタートしています。
https://grief-care-movie.com/
12月1日の劇場公開・初日舞台挨拶には秋篠宮皇嗣妃殿下がご臨席され、メディアなどでも広く取り上げられています。
この映画が「グリーフケア」という言葉、その必要性をより多くの方に知っていただくきっかけになればと願うばかりです。
それでは今日も書き進めてまいりましょう。
どれだけ苦しかっただろう
映画は、大切な人を亡くした方の生の声が中心となって進んでいきます。
悲しい、寂しい、つらい、切ない……。
そんな単語ではとても表現しきれない様々な想いが、心を突き破り全身に広がっていくような苦しさ。もしかしたら、このブログにたどり着いてくださった方も感じているかもしれません。
大切な人や身近な人の死という途方もない出来事に、圧倒され、揺さぶられ、自分の存在すら危うくなることもある。一人になってしまったという現実的な孤独感もあれば、他の家族がいるからこそに感じる孤独もあるでしょう。
周囲との間に壁ができてしまったような、別の世界に飛ばされてしまったような、あるいは真っ暗闇の中に放り出されてしまったような不安や怖さ。
時には、このままではおかしくなるんじゃないかと思えることもあるかもしれません。
死別は、生きるということを突きつけられるような経験でもあると私は感じています。
大切な人や身近な人のいないこの世界で、どうやって生きていったらいいんだろう。
途方に暮れて、亡くなったあの人のそばに行きたくなって、もうそれでいいんじゃないかと思えてきて、はっと我に返ってまたその気持ちに蓋をする。
直視するのがつらいから見ないようにして、なかったことにして、なんとかやり過ごすこともあるでしょうか。
この苦しみから逃れたいと思う人もいれば、少しでもらくになることに罪悪感を覚える人もいます。
どんな気持ちが沸き起こっても不思議ではないですが、どんな気持ちも、一人で抱えるにはあまりにも苦しいですね。
持って行き場がないというか、ぶつけようがないというか、声にならない想いが、内側で暴れまわっているような状態かもしれません。
哀しみの居場所
私自身も両親や夫、愛犬と死別していますが、今こうしてブログを書きながら、死別なんて経験したくなかったなあ、という気持ちが込み上げてきています。
大切な人や身近な人が亡くなる。その後にどんな気持ちになり、どんな状態が起き、どんな景色が見ることになるのか。それを身を持って知りたくなんてなかったですし、たくさんの重荷を押し付けられたような気もしています。
誰もが死別から逃れることはできませんが、自分が経験したからこそ、多くの方にとって死別がいつまでも他人事であって欲しい、そんな気持ちが私の中にあります。
同時に、経験していない頃にグリーフケアの知識を知れていたら、その先に待ち受ける過酷な出来事への対処が違っていただろうとも思うので、経験のない方にこそ、グリーフケアを知っていただきたい、そんなふうにも感じています。
『グリーフケアの時代に~あなたはひとりじゃない~』は、グリーフケアの活動をされている方、その想いにも触れています。
グリーフケアの知識をどれだけ学んでも、ご遺族の全部をわかりきることはできませんし、できるはずもないことです。
映画に登場される方に共通していたのは、「わかるはずがない」ということを重々理解した上で、目の前の方に日々懸命に向き合っていく姿勢でした。
安易な励ましやなぐさめをするのではなく、その方のそのままに寄り添っていく。
日本グリーフ専門士協会の活動も、その一つとして取り上げられています。
「あなたはひとりじゃない」
心からそう感じることは簡単ではないかもしれません。
ですが、必死に手を伸ばし、集ってくださっているその瞬間だけでも、そう感じていただける時間になればと祈るような気持ちでおりますし、わかちあいの会、カウンセリング、協会がご用意しているさまざまな講座が、皆さんの「つながり」であるために、これからも真摯に活動を続けてまいります。
経験したくなかったけれど、経験してしまった私にできることがあるだろうか。
夫が亡くなってから今日までの3年間は、ただひたすらにそのことだけを光として過ごしてきた日々だったように思います。
あの人のそばに行きたいと願う私にとっては、その光は心許ないほどにかすかなものでしかなく、時々消えたように感じ、方角を見失うこともあれば、足取りがおぼつかなくなることもたくさんありました。
自分の中にある持って行き場のない哀しみ、ぐちゃぐちゃで表現しきれないような想いを、もつれた糸をほぐすように少しずつ言葉にして、あるいは文字にして、涙にして。
それを繰り返していくことで、その光がゆっくりゆっくり安定し、「こっちだよ」と優しく照らしてくれるようになった気がしています。
その光が、明日の私を照らしてくれているかはわかりません。そして変わらずそこに光があったとしても、私自身が見失うこともあるかもしれません。
それでもいい。それでもきっとまた歩いていくだろう。
そんなふうに自分を信じられるようになったのは、グリーフケアに出会ったからだと思います。
生きていると死別以外の喪失もたくさんありますね。
その中で私たちは生きていて、それだけでもうじゅうぶんに頑張っている。
『グリーフケアの時代に~あなたはひとりじゃない~』
大切な人や身近な人の死、その現実の声に触れていただく機会として、
また、生きるということを見つめ直す機会として、お立場や世代を超えて多くの方にご覧いただけたらと思います。
何よりこの映画が、今、まさにおつらい状況にいらっしゃる方にとって、その先の光やつながりを僅かでも感じられるきっかけになりますようにと願わずにはいられません。
編集後記
今日も最後まで読んでくださりありがとうございます。
〇オンラインによる「わかちあいの会」(無料)・個人カウンセリングの日程確認とお申し込みは「グリーフサポートIERUBA」へ。
〇「哀しみに寄り添うグリーフケア基礎講座」
大切な人や身近な人と死別され、哀しみの渦中にいらっしゃる方にもご参加いただける講座となります。
死別後の暗闇の中、知識が今を生きる支えとなりますように。
〇「グリーフケア入門講座」「ペットロスケア入門講座」
こちらの講座は無料で開講しています。
支援者を目指す方、グリーフケアってなんだろうという方はこちらをどうぞ。
私もここから学び始めました。