グリーフケアの風景

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インタビュー

入門講座の担当講師に話を聴いてみた② 先崎直子講師 後編

入門講座の担当講師に話を聴いてみた② 先崎直子講師 後編

こんにちは。グリーフ専門士、寿月です。

寒暖差、特に今年は顕著な気がするのですが皆さんいかがお過ごしでしょうか。日々の着るもの選びにも難しさを感じます。すでに梅雨入りした地域もありますし、これから徐々に不快指数があがってくるんだなあ。
グリーフの只中にある時、太陽は眩しすぎて、温かすぎて、強すぎて、雨予報がでるとそれだけで外出しないでいい理由を外付けしてもらえたように思えて、ホッとすることも多い私です。ですが雨の日が続くと余計に鬱々としてくるのも事実。難しいですね。
今、外に出ることがしんどい人も、外に出られないことがつらい人も、この季節をなんとかやり過ごせるよう祈っています。そうやって一つひとつ過ぎていくことをいつか、今とはまた違った想いで振り返れますように。

今回は、ペットロス専門士養成コースを担当されている先崎直子講師(なおこさん)のインタビュー後編をお届けいたします。なおこさんにとって動物たちとは? 講座とは?
あらためて目の前にいる子が、自分にとってどんな存在かを考えていただくきっかけになれば嬉しいです。
そしてグリーフケア、ペットロスケアのさまざまな形の提案、ヒントになるお話もお聴きしたので、活動の、そしてご自身を癒すための参考になさってみてはいかがでしょうか。

※入門講座の担当講師に話を聴いてみた 前編 https://grief-japan.net/blog/interview/b004069/

それでは今日も書き進めて参りましょう。

自身を癒し、まずは身近な人に寄り添う

――なおこさんにとって、動物たちはどんな存在なんでしょう。

家族は家族なんだけど、共に生きる仲間という横関係といいますか、助け合いながら生きている感覚が強いです。
お世話も「している」というよりも「させてくれている」。世話をすることで自分がここにいていいんだというような肯定感につながっているなって。
動物には表も裏もなく、表情にも行動にも本心がでる。そういうところにホッとできまますし、何よりひたむきな愛情をこちらに向けてくれるでしょ。人間同士ではそうとばかりはいきませんからね。

――感染症の先も見えない中、今、世界でもいろんなことが起きていて、国内ではさまざまな報道もあり、自分を整えていくことが難しい人も多いのではないかと思います。私自身もニュースなどから心がざわざわすることがよくあります。
お忙しい毎日だと思いますが、なにか整え方や、リラックス法などがあれば教えていただけますか。

今はしょっちゅう行けるわけではないですが、りんちゃん(なおこさんの愛犬)を連れて山のほうに旅行に行くのが好きです。日常から離れて、自然の中に身を置くと気持ちがせいせいするの(笑) 空は広くて青いし、周りに高い建物はないし。

――時々、日常から距離を置くって大事ですよね。

旅行にまで行けなくても、りんちゃんとの散歩で木々の間を歩いたり、空を見たり、季節の花を見て香りを嗅いだり、それだけでもずいぶん気持ちが楽になるというか、リフレッシュできますね。
あとは、マインドフルネスを習慣化したいと思っていて、頑張っている最中です。脳を休めるためにも続けていきたいです。

――なおこさんにとって講座はどんな時間ですか。

やはり認定資格を出すということで、受けていただく方に対する責任は感じます。でも私自身が受講生の皆さんから気づかせていただくこと、学ばせていただいている部分がすごくあって、だから毎回試行錯誤の連続です。
そして私にとっても自身のペットロスと向き合う時間でもありますし、ペットロスを理解するという一つの方向に向かって進みながら、受講生の方それぞれの動物に対する愛に触れ想いを共有する、とっても大事で貴重な時間となっています。

――学ばれた方、ペットロス専門士としてどういう場面で活躍していただきたいですか。

まずは身近な方に寄り添っていただきたいです。ペットを亡くした方って二重に傷つかれている。大切な存在を亡くすという傷と、周囲の関わりで気持ちをわかってもらえないという傷です。そこを知って関わることで、傷つかれる方を減らしていけるといいですよね。
それからベーシックを受講し資格を取得いただくと、協会が開催しているわかちあいの会のサポートに入っていただけます。マスターの資格まで取得いただくと、わかちあいの会を主催できるので、地域で場を作っていきたい方にもおすすめです。

――前回、やりたいことがたくさんあるとおっしゃっていましたが。

毎年、お盆の時期に「動物たちのお盆」という催しを開催しています。ここ2年はオンラインでの会となっていますが、また対面でできたらいいなと思っています。3年前の会は対面だったんですけれど、お話をするだけではなく、フラワーフォトフレームやアニマルコラージュ(ちぎり絵)を創作したんです。その子を想って手を動かすことがケアにつながると感じました。
あとは獣医師仲間にセミプロの歌手がいるのですが、私がピアノを弾いてその方に歌っていただいて、朗読なんかも取り入れたペットロスの会もやったことがあって。
今は対面での開催が厳しいのでなかなか難しいですが、音楽や創作、絵を描くなどいろんな形のグリーフケアがあっていいのではないかと。

――どんな形が響くかは人それぞれですからね。

手を動かしたり耳からだったり、感覚に訴えるグリーフケア。言葉にするのが難しい方も、別の形で表現ができるかもしれないと思うんです。
三色パステルアートといって、ちゃんとレシピがあってシンプルだから絵が苦手な方にも取り組んでいただきやすい手法などもあるので、取り入れていけたらと思っています。

――では最後に、学ぼうか迷っておられる方へのメッセージがあれば。

今ペットと暮らしている方は、もしかしたらその子の「死」を考えることに抵抗があるかもしれません。でも「死」を考えることは、今を大事に過ごすことにつながると思うんです。愛する子との時間を大事にしていくためにも、この学びを役立てていただけたら嬉しいですね。
そして実際に死別された方へとしては、知識として学ぶことと、経験を話したり他の方の話を聴く中で、少しでもお気持ちを整理するような時間としていただけたらありがたいです。

ペットと暮らしたことがない方は、どこか遠いことのように感じられるかもしれませんが、実は全然そんなことはなくて。会社や地域の中、友人や仕事での出会いなどにもペットと暮らされている方は大勢います。その方々とのコミュニケーション、関係を大事にしていく上で必要なこと、知っておいたほうがいいことなども盛り込まれた講座になっているのでご参加いただけると嬉しいです。

お話をお聴きして

獣医師として長く臨床に携わりながら、一貫して飼い主や動物と関わるお仕事をされている方など、動物を取り巻く人のためにできることを考え続け、尽力されているなおこさん。それがペットの幸せにもつながっていくわけですから、動物にも人にも深い愛を持たれている方だということが伝わってきます。
話すのは得意ではないとのことですが、実直な言葉の一つひとつには、なおこさんのひたむきな想いが込められているように感じました。

ペットロスのベーシックコースを受講した時の私は、愛犬との死別と前後して実父と夫が亡くなったという状況があり、17年近くも共に生きてくれた子になかなか想いを馳せられないままに過ごしている状態でした。自分が無意識に愛の選別(愛犬の死より夫や父の死のほうが重いと)をしているように思えて、愛犬に申し訳なく、なんて冷たい人間なんだろうと自分を責めていました。そしてそのことを誰にも言えずにいた。
講座でのなおこさんは、一生懸命に伝え、そして聴いて、共に向き合ってくださるお姿が印象深く、そんななおこさんだからこそ、勇気を持って話してみようという気持ちになったことを覚えています。

人間は生まれた時から、否が応でも人と関わって生きていく。だから身近な人や大切な人との死別、その喪失の悲嘆も想像しやすいように思います。
だけれども動物との別れは、想像しづらい方もいるかもしれません。それがいいとか悪いという話ではなく、わからないからこそ知ろうという気持ちをたくさんの人に持っていただけると、より優しい世界になっていく気がしますね。
まずは無料での入門講座、ご検討いただければ幸いです。

◎グリーフケアを学ぶ第一歩「グリーフケア・ペットロスケア入門講座」も無料で開講しています。支援者として活動したい方はもちろんのこと、グリーフの渦中におられる方にもご参加いただいております。今のご自分の状態を、少し客観視できるようになるかもしれません。私もここから学びをはじめました。

 

編集後記

今日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
当協会のオンラインでのわかちあいの会の申し込みサイトが新しくなり、お申込み方法にも変更がありました。

【グリーフケアIERUBA】

https://www.ieruba.jp/  (グリーフケアIERUBA)

わかちあいの会と個人カウンセリング、ご状況に合わせてお選びいただける形となっております。

◎オンラインによるわかちあいの会はこれまで同様、無料にてご参加いただけます。
まずは利用者登録(無料)をクリックし案内にそって進めていただきますと、
仮登録が完了し、IERUBA事務局より「登録案内メール」が届きます。
        ↓
メールの本文にあるURLより本登録の手続きをする。
それが済みますと、わかちあいの会にお申込みいただける流れとなります。

◎対象別わかちあいの会の一覧確認、お申込みページに行く方法の一例
本登録終了後、マイページ上部にある『セッション予約』の
 ・日程から予約  
 ・担当から予約
 ・セッションから予約
いずれかをお選びいただくのですが、
わかちあいの会お申込みの場合は、「セッションから予約」をお選びいただくのが一番わかりやすいかなあと個人的には感じます。 
その後は案内にそって進んでいただき、参加する会を選んでお申込み。(TOPページ上部「はじめての方へ」のご利用方法欄も合わせて確認いただくとわかりやすいかもしれません)


この他にも、当ブログが掲載されている日本グリーフ専門士協会サイト上部「グリーフケア」をクリック
   ↓
わかちあいの会(オンライン)をクリック
にてご確認、お申込み(IERUBAログイン後)いただけるようになっておりますので、お時間のあるときに覗いていただけると幸いです。

最初は工程が多く、複雑に感じるかもしれませんね。
わからないことがありましたらIERUBAサイト内「お問い合わせ」より、お気軽にお知らせくださいませ。