
グリーフケアの風景 Landscape
哀しみと共に生きるために

こんにちは。グリーフ専門士、寿月です。
日本グリーフ専門士協会のグリーフケアスクールには、どのような方たちが学びにきてくださっているのでしょうか。
「支援者を目指す人だけが学ぶところなの?」という質問もよくいただくところですが、実は必ずしもそうではありません。
私自身もそうでしたが、ご自身が大切な人や身近な人と死別され悲嘆の中で過ごしながら、自分はどういう状態なのか、どうやって生きていったらいいのか、そのヒントを知りたいというお気持ちから学んでくださる方がいます。
また、お仕事で哀しみを抱えた方と関わってこられる中で、より深くグリーフケアを理解したいと感じて学びに来てくださる方もいます。
ご自身が死別を経験された方の中には、学びを進めるうちに、私も自分と同じような経験をされた方の力になりたいと、未来に目を向けていかれる方もいらっしゃいます。そして、お仕事の中で活かしたいという方の中にも、無意識のうちに内側に閉じ込めていた様々な自分に気づき、そこに向き合う時間として感じてくださる方も多くいらっしゃいます。
どんな方たちが学び、学んでみてどんなことを感じられたのか。実際に受講された方のお声をご紹介したいと思います。
どうしてグリーフケアスクール(専門士養成コース)に参加したいと思われましたか
・パートナーとの突然の死別により、今までに感じたことのない悲嘆を抱えたことがきっかけです。これからの人生を前向きに生きていくためには、今の状況を俯瞰しこれから起こるであろう心の変化を知り対応したいと考えました。
また同じように悲嘆を抱えた方のお話を聞かせて頂くことが出来ると思い参加をさせて頂きました。(M.Yさん)
・十代の頃から生きづらさを感じていました。年を重ねるうちに自己肯定感の低さに気づきましたが、どうしたらいいかわかりませんでした。そのまま生きるしかないとあきらめていたのかもしれません。心の底ではどうしても自分を受け入れられないのです。受け入れる気にならない。そのままの自分を無条件に愛するということができない。
ある時、母との死別体験が自然と思い出されました。高校二年生の時、私は母を亡くしました。辛くて考えるのをずっと避けてきたけれど、このことに向き合わないと前には進めないのかもしれない。そう思いました。
今まで傷ついた自分に何もしてあげられなかった分、自分ときちんと向き合おうと思いこの講座を受講することに決めました。(Y.Tさん)
・癌患者さん、ご遺族と関わる仕事をしているので、支援するにはどうすればいいのかを学びたいと思いました。と同時に自分自身のグリーフを振り返り、自分の人生について考えたいと思いました。
どこで学ぼうと考えたとき、オンライン受講であることと、講座の内容を拝見してこちらに参加したいと思いました。(M.Uさん)
・私は、祖母、実父、夫、義父の喪失を経験しました。特に夫が亡くなってから、今年で19年になります。これだけ長い時間が過ぎたのに、心の中に今でもくすぶり続けている様々な思いが抜けきれず、何とかしたいと思っていました。
これまで、自分の感情に素直に向き合う時間を取ってこなかった、というか向き合う事を避けてきた、というほうが合っているかもしれません。自分の感情を言葉にする事がなかなかできず、どこかで罪悪感や後悔もあり、それらの感情を少しでも解放していきたいと思いました。(M.Mさん)
・現在、人事総務の仕事をしていますが、現場のプロジェクトの同僚とは違った立場から社員を心身ともにサポートしなければなりません。そこで、今一度自身の心と向き合う時間を持ちたいと思い、参加しました。
私自身、高校入学式の当日に母方の祖父を亡くし、それをきっかけにして母の様子が変わり、私も心境の面で高校生活のスタートが遅れ、様々な影響がありました。ここから大学、就職という未来を見据えて動かなければならず、どこか自分の心の奥の方を置き去りにしていた感覚がありました。
社会人4年目にして人事総務への異動が決まり、冒頭に触れた社員サポートの他にも、訃報のあった社員を見舞うことも度々あります。また、私と年の近い後輩社員のメンタルケアなども任されるようになりました。何かのご縁だから責任をもって全うしたいと思い、まずはこのタイミングで、置き去りにしていた自分の気持ちと向き合うことに決めました。(Y.Aさん)
看護師という職種で、グリーフケアが大切にされていないように感じ、今の職場ではグリーフケアを知らない看護師が多いということを目の当たりにしたのがきっかけで、このスクールに出会い、受講させてもらうことに決めました。看護の中で、最後にできるケアがグリーフケアです。それをもっともっと大切にし、なぜそれが大切なのかを自分自身が学び、発信することで、より良い看護を提供できるようになりたいと思い、受講させていただきました。(C.Mさん)
参加してどのように感じましたか
・喪失体験を語り聞いていただくことで混乱していた思考を整理することが出来、感情がまだ不安定にはなるものの少しずつではありますが自己を取り戻している感覚があります。(M.Yさん)
・講座を通して、自責の念にさいなまれている人が自分の他にもいるということを初めて知りました。私は母の死について思い出すことも語ることもずっと避けてきました。講座を受け始めてからもなかなか語ることができずにいました。自分がしてしまったことを言葉にするのも、人に責められるのも怖かったのです。でも、他の参加者の方たちがご自身の経験をみんなの前で語るのを見て、すごいなと思いました。私なら怖くなって誤魔化してしまいそうなところを、その方たちは逃げずにお話されているように見えました。私もその方たちのようにちゃんと自分と向き合えるようになりたい。そう思いました。
あの時は自分の身に何が起きているのか自分でも理解できていなかったので、対処の仕様がなかったのかもしれません。この講座を受講して、あの時には感じられなかった安心感を得ることができました。うまく話せなくても、話すのに時間がかかっても受け止めてもらえる。「私が求めていた場所はこれだ」と思いました。改めて、もっと早くにグリーフケアと出会っていたかったなと思います。(Y.Tさん)
・知識は自分を助ける事になる、と教えていただきましたが、本当にその通りでした。ベーシック講座で基本的な事を学んで、自分の抱えている感情や考えが決しておかしいものではないと知ることが出来ました。(M.Mさん)
・ワークを通し、自分自身が未だに当事者なんだなと気づけることが出来ました。自分は、もうとっくに終了しているんだと勝手に思っていたのですが、父親の死について、話す事をしてこなかった自分と向き合えました。話す場が今までなく、自分の中で封じ込めていました。初めて父親の事を話せて、この苦しさをわかってくださる方がいることが本当にありがたかったです。私は、受講できていなかったら、今も苦しんでいたと思います。受講しながら、自身のグリーフケアも行える場所であったことが、癒しの場になっていました。本当に感謝しております。(C.Mさん)
https://grief-school.net/voice/
(グリーフ専門士/ペットロス専門士養成コース:受講生の声)
受講される皆さんが、講師のもとでお互いに支え合い、労い合う姿をたくさん見せていただいてきました。
また、哀しみの中にいらっしゃる方、そして誰かのために学んでくださる方、その双方にとって知識や語り聴く経験が今を生きる助けになるということを、皆さんのお姿から教えていただいてきたような気がします。
講座自体がグリーフケアを受けているような時間だったとお話しくださる方も少なくありません。
講座を通して、自分自身が大切にされる感覚、また、自分も自分を大切にしていいんだと思える経験を重ねていく機会にしていただければと願っています。
編集後記
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
私自身、このグリーフケアの学びに出会わなければ、死別の哀しみや、人生の中で感じてきた様々な痛みを持て余し、自分の力ではどうすることもできないものだと諦めていたかもしれません。
〇「グリーフケア入門講座」「ペットロスケア入門講座」
こちらの講座は無料で開講しています。私もここから学び始めました。
専門士養成コースに関心のある方はこちらから。
〇オンラインによるわかちあいの会(無料)・個人カウンセリングの日程確認とお申し込みは「グリーフサポートIERUBA」へ。
〇「哀しみに寄り添うグリーフケア基礎講座」
大切な人や身近な人と死別され、哀しみの渦中にいらっしゃる方にもご参加いただける講座となります。
死別後の暗闇の中、知識が今を生きる支えとなりますように。