グリーフケアの風景

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グリーフの渦中より

死別による影響1 ~ 人間関係

死別による影響1 ~ 人間関係

こんにちは。グリーフ専門士、寿月です。
少しずつ朝日が昇るのが早くなっているのを感じます。
私たちは常に変化の中にいますね。
変化を楽しめる時ばかりではないけれど、そのままに受けとめる力が欲しいと思う今日この頃です。

それでは書き進めてまいりましょう。

 

直後も…1年後も…10年後も…

大切な人や身近な人との死別の後、友人や同僚などに支えられたというお話が多くある一方で、人間関係が大きく変化する人も少なくありません。

少しでも気を紛らわして欲しい、元気になって欲しいという思いから外に連れ出そうとしてくれる気持ちはありがたいのだけれど、特に死別直後は誰かと会って話す気力がわかない場合もありますし、ひとりで居たくない、でも誰にも会いたくないという相反するような気持ちになってもおかしくありません。

死別という他と比べようのない経験をし、全てが変わってしまったように思えるのに、日常は何も変わらなく動いていて、みんな笑ったり怒ったり、愚痴を言ったりしている。 
そんな当たり前の毎日に、心が追いつかないこともあるでしょう。

かくいう私も、夫が生きていた頃に親しくしていた人たちとは、距離が変化したと実感している一人です。

その人たちと会うだけで、夫がいないということが浮き彫りになってしまうだろう。
当たり前に出る家族や夫婦の話題に、自分がもう以前のような感覚で入り込めないことに気づいてしまうだろう。
その人たちが生きている世界とは別世界にいるような気持ちになって、孤独が増すだろう。
ああだろう、こうだろうと想像し、会うことを躊躇して、メールなどのやり取りもなんとなく停滞している状況です。

私のように、自ら距離をとる人もいれば、気を使わない間柄だからこそ悪気なくかけられた言葉に傷つき、距離を取らざるを得なかったという人もいるでしょう。
どんな言葉で傷つくかは人それぞれで、タイミングやその時の状態によって、受け流せることもあれば、関係を断とうと思うこともある。
会社や仕事上のお付き合いの中であれば簡単に距離を取ることもできずに、傷つきを重ねていくしかない状況にしんどさを感じている方もいるかもしれません。

気を使われていると感じることがつらいとお話しくださる方もいます。
腫れ物に触れるような扱いはしてほしくない。でも、触れると心が揺さぶられる話題があることも事実です。

死別しなければ当たり前にかわしていた話題が苦痛になって、羨ましくて、寂しくて、自分だけが「普通」の中から放り出されてしまったように思えたり。
内側にある本当の気持ちだけが、誰にも受け止められないままに置き去りにされているような気持ちになったり。
自分の中ではまだこんなにも生傷なのに、周囲にとっては過去になっていく切なさもあるでしょうか。

もっと亡くなった人の話をしたい
今の哀しみを言葉を挟まずに聴いてほしい
ただそばにいてほしい 
助けてほしい

切実に求めれば求めるほどに周囲との温度差が浮き彫りになって、孤独を感じてしまう。
そして、誰かにわかってほしい気持ちと、誰にもわかるはずがないという気持ちは背中合わせにくっついているなあと感じることがあります。
周囲が思うほど死別の哀しみは単純ではなく、私たちの心には様々な感情が入り乱れています。死別直後には直後の、1年後には1年後の、10年後には10年後の哀しみがあります。

誰といても、何をしていても感じる孤独。
それは、亡くなった人がそれだけかけがえのない存在だったことの証かもしれません。

日本グリーフ専門士協会のわかちあいの会は、悲しみ、切なさ、楽しかった記憶、怒り……、どんな想いでもお話しいただいける場です。
日常の中では語りきれない想いを、誰かと比較することなくわかちあい、疲れてしまった心と身体を少しでも休めていただけるよう、グリーフ専門士/ペットロス専門士がサポートいたします。

https://www.ieruba.jp/WTE/reg.cgi
わかちあいの会・カウンセリング総合サイト「IERUBA(イエルバ)」の新規ご利用登録はこちらから。

そして、グリーフは死別に限ったものではなく、たまたま死別を経験した私たちだけが理解を深めても、あたたかい社会は広がっていかないかもしれません。
さまざまなお立場の方の日常に、グリーフケアの知識と姿勢を取り入れていただけたらと心より願っております。
https://grief-school.net/ (グリーフケアスクールのご案内)

 

編集後記

最後まで読んでくださりありがとうございます。
先日、久しぶりに自分のためにお花を買って飾ったら、それだけで気持ちが浮き立っているのを感じます。
「自分のために何かをする」小さなことから大切にしていきたいです。

〇オンラインによる「わかちあいの会」(無料)・個人カウンセリングの日程確認とお申し込みは「グリーフサポートIERUBA」へ。

「哀しみに寄り添うグリーフケア基礎講座」
大切な人や身近な人と死別され、哀しみの渦中にいらっしゃる方にもご参加いただける講座となります。
死別後の暗闇の中、知識が今を生きる支えとなりますように。

「グリーフケア入門講座」 「ペットロスケア入門講座」
こちらの講座は無料で開講しています。
支援者を目指す方、グリーフケアってなんだろうという方はこちらをどうぞ。私もここから学び始めました。