グリーフケアの風景

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グリーフの渦中より

自分らしい生活を取り戻すまでの年数について

自分らしい生活を取り戻すまでの年数について

こんにちは。グリーフ専門士、寿月です。
時々ビジネス街や繁華街を歩くと、道行く人の流れの速さに驚きます。
その動線には何か法則があるように見えることもあって、わからないのに一生懸命合わせようとしている自分を感じます。
でも合わせようとし過ぎると、曲がりたいところで曲がれなかったり、止まりたいのに止まれなかったりして、自分が目指す方向じゃないほうへ行ってしまうこともあります。
生きていく中では、流れに沿うことと自分の歩む速度や方向を守ること
どちらも大切で、必要な場面があって。
また、大きな流れに見えるものも個々の動きのつらなりなんだとあらためて感じます。

それでは今日も書き進めてまいりましょう。

知りたくなるのは自然なこと

「こんな状態がいつまで続くのか」
カウンセリングやわかちあいの会などで、つぶやかれる方がいます。
「平均だと〇年くらいと聞いたことがあるのですが、本当ですか」
と問われることもあります。 
大切な人や身近な人を亡くした後は、1日をやり過ごすだけで精一杯な状況があり、いつになったらこの苦しみがなくなるのか、知りたくなるのは自然なことかもしれません。

私自身もそうでした。
母が亡くなった時、20代だった私の周りには、同じような経験をした人がいませんでした。かけられるどんな言葉も見当違いに思えたし、自分の苦しみを上手く表現することもできなかった。
母を想い、悲しみ続けることが、私を支えていた時もあったと思います。
一方で、終わりが見えないことがとても怖かったです。
一日が長く感じられました。
母が存在しない時間が刻々と伸びていくのを、なすすべもなく見送っているような気持ちでした。
どこかに明確な答えがあればいいのに。そんなことを思っていました。

グリーフ専門士/ペットロス専門士になるための学びの中では、大切な人や身近な人と死別した後、遺された方がどのくらいの期間で自分らしい生活を取り戻されるか、その平均とされる年数をお伝えしています。
この数字は日本国内の調査研究された指標をもとに示されたものです。
どなたかの哀しみに寄り添わせていただく専門士として、その情報を心の片隅に留めておくことで、その方のグリーフの状態の深さを知るために役立つ場合があるためにお伝えしています。 
ですが、講座の中では同時に、この数字だけを拡散することは控えてくださいと繰り返しお願いしています。

理由は、その年数はあくまで平均であり、全ての人に当てはまるものではないからです。

最近ではインターネットを検索すれば、比較的容易に必要な情報に行きつくことができます。
けれども、しっかりとした説明がなく、それらの背景や付随するリスクが示されないまま数字だけが独り歩きすることにより、誤解が起こり、余計につらさを増してしまう方もいるかもしれないのです。

それ以上の年数が経過していても深い哀しみの中にいる自分は、どこかおかしいのではないか。
平均よりずっと早く生活を取り戻した私は、冷たい人間なのではないか。

もちろん、その数値を知り、〇年経てば私も元気になれるのかと希望を見いだす人もいると思います。

母との死別後、先が見えない状態の私がこの数値を知ったら、そこに僅かに光を感じたかもしれません。でも死別直後であれば逆に、果てしなく遠くに感じて、耐えられなかったかもしれません。
そして、その平均とされる年数を迎えても、自分らしい生活を取り戻せずにいた事実があることも合わせてお伝えしておきます。

一般的にはこうだとか、平均だとこうだという情報を目にすると、それをなんらかの基準のように感じることがあるかもしれません。 
でもその枠に、無理に自分をあてはめなくてよいですし、私たちは生身の人間ですから、そもそもあてはまらないもののような気がします。

大切な人や身近な人と死別された後の状態やお気持ちは、本当に人それぞれです。誰一人、同じではない。
さらに言うと、日々刻々と変化を繰り返します。
哀しみは大きくなったり、小さくなったり、形を変えたりするかもしれません。
激しくなることもあれば、落ち着いたように見えることもあるし、とても手に負えないもののように思えることもあれば、手放したくないほどに愛おしく感じることがあるかもしれません。
私たちグリーフ専門士/ペットロス専門士は、答えが見えない中で懸命に日々を過ごされている方の苦しさ、ひとつひとつの変化、道のりの一端に同行させていただきます。

そして、「自分らしい生活」「自分らしさ」もまた、人それぞれですね。もしかしたら、以前の自分らしさとは違う、新たな自分かもしれない。
哀しみと哀しみの隙間に、「私らしい」と感じる小さな瞬間が芽生えること、その体感を少しずつ積み重ねていけることを信じて、共に歩めればと願っています。

今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

 

編集後記

先日、美味しいお出汁をいただきました。煮だして、味を足さずにそのまま飲むのにはまっています。
美味しいもさることながら、ほっと息つく時間をいただいたような気がしています。

〇オンラインによる「わかちあいの会」(無料)・個人カウンセリングの日程確認とお申し込みは「グリーフサポートIERUBA」へ。

「哀しみに寄り添うグリーフケア基礎講座」
大切な人や身近な人と死別され、哀しみの渦中にいらっしゃる方にもご参加いただける講座となります。
死別後の暗闇の中、知識が今を生きる支えとなりますように。

「グリーフケア入門講座」 「ペットロスケア入門講座」
こちらの講座は無料で開講しています。
支援者を目指す方、グリーフケアってなんだろうという方はこちらをどうぞ。私もここから学び始めました。